「食」の問題の解決に向けて、みんなでアクションする1ヵ月。
「世界食料デー」月間2022 10/1-31

世界の食料問題

いま、何が起こっているの?私たちとのつながりは?

すべての人が、いつでも、どこにいても、安全で栄養があるものを十分に食べられるようにするにはどうしたらいいでしょうか。それが実現できていない背景には何があるのでしょうか

みんなで食べる幸せを

「世界食料デー(10月16日)」は国連が定めた世界共通の記念日です。世界中の人々が協力しあい、最も重要な基本的人権のひとつである「食料への権利」を実現し、飢餓を解決することを目的に制定されました。安全で栄養のあるものを十分に食べることや、たくさんの人たちの手を経て届いた物をおいしくいただくことは、世界中どこに住んでいても、誰にとっても大切です。しかし、それが実現できていない背景には何があるのでしょうか。

食べ物は足りています

世界の穀物生産量は毎年26億トン以上。在庫もあるので、今、世界ではすべての人が十分に食べられるだけの食料は生産されていると言われています。それにもかかわらず、世界では最大8億2800万人、10人に1人が慢性的な栄養不足です。長期的に見ると2005年の14.5%から徐々に減少していますが、2016年からは増加傾向に転じました。さらにコロナ禍によって2019年と比べて1億人以上増加し、世界の人口の最大10.5%、10人に1人が飢えています。地域別に見ると、人数ではアジアが4億2500万人と一番多く、人口に占める割合ではアフリカが20%と深刻です※1

※1 国連食糧農業機関(FAO)(2022年)

作っているけど十分に食べられない

極度の貧困のなかで生きる人たちの約8割が農村部※2に暮らしています。その多くは農業で生計を立てていますが、農作物を栽培できる時期が雨季の数ヵ月に限られていたり、雨水などの自然に頼った農業を行っていたりしています。そのため、雨の降る時期が遅れる、日照りが続くなど天候が不順になると、食料の生産に影響します。また、安定した収入も得られなくなるため、病院へ行けなくなる、子どもを学校へ行かせることをあきらめるなど、生活全般にも影響します。

※2 Castaneda, et al.(2018年)

高くて買えない

国内で不足している、あるいは調達できない食料を輸入に頼っている国では、国際市場での食料価格の変化に食生活が左右されてしまいます。また、経済的に貧しい人たちほど、生活費に占める食費の割合が高い傾向にあるため、食べ物の値段が上がったり、収入が十分に得られなかったりすると、食事の回数や量を減らす、品数や使用する食材を減らす、安く手に入る栄養の偏った食事で空腹をしのぐなど、生きるために必要な「食べること」に大きく影響してしまいます。

食料価格の値上がりの影響

 

例えば2022年3月には、穀物輸出国であるウクライナ・ロシアでの戦争により貿易が滞り、主要な食料(穀物、食肉、砂糖、乳製品、油糧種子)の国際価格が高騰しました。気候変動や新型コロナウイルス感染症によりすでに上昇していた食料価格のさらなる高騰は、支出における食費の割合が高い貧しい人々の生活に重くのしかかっています。一方で、世界の穀物生産量は年々増加する傾向にあります。世界経済の中で、「食べ物は十分につくられているのに食べられない人がいる」という矛盾が大きくなっています。

たくさん捨てている私たち

世界では毎年、食用に生産されている食料の3分の1にあたる13億トンが捨てられています※3。日本のような先進国では、「食べ残し」や「賞味期限切れ」など消費段階で捨てられる食べ物が多いです。一方で、開発途上国では、同じ時期に農作物がたくさん収穫できても「適切に保管できない」「加工するための技術が十分にない」「適切に運ぶための手段やガソリンを買うお金がない」などの理由で、必要な人に届く前にムダになっています。

※3 国連食糧農業機関(FAO)(2011年)

フードロス、何が問題?

本当であれば食べられるはずだったにも関わらず、捨てられてしまう食べ物=フードロス。一体、何が問題なのでしょうか。FAOの報告書によると、フードロスが与える影響のひとつとして地球環境への負荷が上げられています。世界の温室効果ガス排出量の8~10%が、フードロスによって排出されていると言われています※4。気温の上昇や雨の降り方などの気候の変化、干ばつや洪水などの異常気象によって食べ物を作る環境が厳しくなるなか、その影響を大きく受けるのは、アジアやアフリカなどの最貧国に住む小規模な農家です。

※4 Mbow et al.(2019年)

資源も無駄に

また、食料を生産するには水や土地などの資源がたくさん必要なため、食べ物を捨てるということは地球上の限られた資源もムダにすることになります。世界で利用されている水のうち農業に使われているのは約70%※5。たとえば、ハンバーガー1個(牛肉113g)を作るためには1,695リットル=500mlのペットボトル3,390本分の水が必要です※6。捨てられてしまう食料を生産するために、世界の農地の30%近くが使われているという報告もあります※7

※5 2017年の割合。Food and Agriculture Organization, AQUASTAT data ※6 国連環境計画 (UNEP) (2018年) ※7 国連食糧農業機関(FAO)(2013年)

海外に頼る私たちの食

日本の食料自給率は37%(カロリーベース)※86割の食料を海外からの輸入に頼っています。先進国の場合、国民が食べることに困らないように十分な食料を自分の国で生産し、さらには輸出をしている国が多いなかで、めずらしいことです。それにも関わらず、日本では、食べ残しや賞味期限切れなど、まだ食べられるはずの食料が年間522万トンも捨てられています。そのうちの275万トンは事業者から、247万トンは家庭から出ています※9。一方で、2020年の食品ロスの量は、新型コロナの影響もあり、農林水産省が推計を開始した2012年以降、最小になりました。私たちの行動や食生活が変わることで、食品ロスの量も変化します。

※8 農林水産省(2021年)※9 農林水産省(2022年)

2030年までに飢餓をゼロに

まだ食べられる食べ物をたくさん捨てている日本でも、約2000万人の人たちが貧困ライン以下(全人口の中央値の半分に満たない所得)で生活していて、なかでもひとり親世帯や高齢者の割合が高いです※10。生きるために最低限必要な食べることさえも十分ではない人たちがいることは、世界も日本も同じです。国際社会は、持続可能な開発目標(SDGs)の中で2030年までに「飢餓をゼロに」することを約束しています。「食べる幸せ」をみんなで分かち合える世界にするために、必要なのは私たち一人ひとりの行動です。

※10 厚生労働省(2019年)

イラストボランティア/青山京子

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