「食」の問題の解決に向けて、みんなでアクションする1ヵ月。
「世界食料デー」月間2019 10/1-31

食の視点から考えるSDGs

「飢餓をゼロに」と他の目標とのつながりは?

貧困や格差、気候変動などのさまざまな問題の解決をめざす「持続可能な開発目標(SDGs)」。 17の目標の1つが、2030年までに「飢餓をゼロに」することです。 日本を含む多くの国が誰もが十分に食べられる世界の実現を約束していますが、「飢餓をゼロに」することと他の目標がどのようにつながっているのか、食の視点から考えてみませんか。
国連食糧農業機関(FAO)のウェブサイトをもとに作成しました(データは2019年時点のものです)

貧困をなくそう -極度の貧困に暮らす人々の8割は農村部に-

1990年以降、極度の貧困のなかで暮らす人(1日あたり1.9ドル以下で暮らす人々)の数は半減しました。しかしながら、2015年時点でもなお、世界では7億3700万人が極度の貧困を強いられ、その大半が南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカに住んでいます。
極度の貧困にある人々のうち、8割が農村部で暮らし、その生計手段と食料の確保を農業に依存しています。包摂的(みなで恩恵を分かち合い、誰もが意思決定の過程に参加できること)な農業や食料生産、農村地域における農業以外の仕事(鉱業や木材加工、観光など)は、雇用を生み出し、飢餓をなくすことにつながります。また、家族を養い、人として尊厳のある暮らしを送る支えとなります。

飢餓をゼロに -十分な食料生産量の一方、8億2160万人が飢餓に直面-

2050年までに世界の人口は100億人に達すると予測されています。健康的な生活を送るために必要な栄養を満たす、十分な品質の食料の確保は、世界が直面する大きな課題の1つです。しかしながら、水・土地の不足、土壌劣化、生物多様性の減少、より頻繁で深刻さを増す自然災害の増加に直面しています。
食料安全保障の確立には、あらゆる形態の栄養不良をなくすために取り組み、小規模農家の生産性と所得の向上、フードシステム(食料の生産から流通・消費までの一連の流れや食品産業など産業界の相互のかかわり)におけるレジリエンス(強じんな回復力)の強化、生物多様性と遺伝資源の持続可能な利用への統合的なアプローチが必要です。

すべての人に健康と福祉を -健康的な生活に不可欠な栄養-

定期的に栄養価の高い食べものを取らなければ、人間は生きること、学ぶこと、病気を防ぐこと、生産的な生活を送ることはできません。貧困や飢餓、栄養不良の悪循環を絶つためには、妊産婦の健康状態の改善、女性や女の子の栄養に対する意識の向上も重要です。
人間の健康だけでなく、動物や植物が健やかに育つことも大切です。家畜を病気や劣悪な扱いから守り、抗菌剤耐性の脅威を抑制すること、また植物につく病気や虫の被害が広まらないようにすることは人々の健康と生活を守ることにもつながります。

質の高い教育をみんなに -農村地域の適した教育システムで出席率の改善を-

質の高い教育は、人々の生活の向上と持続可能な開発のために不可欠です。しかし、農村地域では1億5200万人もの子どもたちが児童労働を余儀なくされています。児童労働の70%以上が農業に従事しており、農村部の平均非就学率は都市部と比較して2倍の高さです。
農村地域のニーズに応える教育システムの推進、初等教育へのアクセスの改善、学校菜園や学校給食プログラムの導入によって、子どもたちの出席率は伸びるとされています。子どもたちの栄養と発育に効果があるだけでなく、地域社会に社会的、経済的、環境的利益をもたらします。

ジェンダー平等を実現しよう -女性への制約の改善が地域社会全体に貢献-

開発途上国の農業労働力の約半分を占める女性は、重要な役割を果たしています。しかしながら農村部の女性は土地、技術、市場、インフラ、サービスなどにアクセスしようとするときの制約が男性に比べて大きいとされています。
農村部の女性が生産資源、サービス、経済的機会において、男性と同程度のアクセス権を持った場合、農業の生産性、社会的・経済的利益が、いずれも短期、長期で見た場合に、大幅に増加するとされており、飢餓や貧困に苦しむ人々を減らすことにつながります。

安全な水とトイレを世界中に -農業への水使用量の削減が課題-

世界では約25億人が適切な衛生設備に対するアクセスがありません。水不足、水質の悪さ、不適切な衛生設備は、世界中の貧困世帯の食料安全保障、栄養、教育、経済的機会に影響を与えます。世界の水の70%は農業や畜産に使われ、一部の開発途上国ではその割合は95%にも上ります。
世界的な人口増加と経済発展によって食料需要が増加するなか、さらにその割合は増えると予測されています。水の使用量を減らしつつ、同時に食料生産をどう向上させるかは、私たちが直面する大きな課題です。

エネルギーをみんなに そしてクリーンに -化石燃料への依存、転換を-

今日のフードシステム(食料の生産から流通・消費までの一連の流れや食品産業など産業界の相互のかかわり)は化石燃料に大きく依存しています。フードシステムにおいて、エネルギーは食料安全保障の確立やより良い栄養状態の確保に重要な役割を担う一方、利用可能なエネルギーの3割はフードシステムが消費し、温室効果ガスの2割以上を排出しています。
より少ない量の、環境に負荷がかからないエネルギーを使ってより多くの食料を提供するためには、化石燃料への依存を段階的に弱め、再生可能エネルギーへと移行する必要があります。政策立案や適切な法的枠組みの確立、マルチステークホルダー(利害関係者)による対話も必要です。

働きがいも経済成長も -農業分野の成長は貧困の削減につながる-

開発途上国の労働者の約6割が農業に従事していることからもわかるように、農業は世界最大の労働者を抱えています。しかし、大多数の労働者、特に若者は、政府や自治体による監督、課税の対象とならない非公式な農村経済のなかで不安定で低賃金の仕事に就いているため、労働市場がすでに飽和状態にある都市部へと移住する原因となっています。
食のサプライチェーン(食料が農業によって生産されてから最終的に家庭で消費されるまでの過程)に関連する、持続可能な農業や農業関連産業(アグリ・ビジネス)の発展、またそれらを下支えするサービス業などは、就業機会をもたらすとみられています。

産業と技術革新の基盤をつくろう -小規模農家に手ごろな技術・インフラ提供を-

開発途上国では多くの人々が農村地域に暮らしており、生計のほとんどを農業に依存しています。しかし、インフラが整っていないために市場へのアクセスが限られ、小規模農家の生計と食料安全保障に影響を及ぼしています。
開発途上国で暮らす約26億の人々にとって、電気の供給は不安定で常に使えるとは限りません。貧困削減を加速するためには、小規模農家にとって手の届きやすい技術やインフラを提供すること、農業に限らず就業機会を確保し、収入手段を多様化させることが不可欠です。

人や国の不平等をなくそう -土地改革は公平なアクセスをもたらす-

世界全体で長期的に見た場合、飢餓や貧困の削減には大きな前進が見られます。しかし、開発途上国では1990年から2010年の間に所得格差が11%も拡大し、貧困層のほとんどが住む農村地域では、所得、食料、土地、健康、教育における格差が広がっています。
貧困層やぜい弱な立場にある人々、特に農村地域の女性には、依然として土地、天然資源、金銭の貸借サービスを利用するにあたって大きな制約があります。農業、漁業、畜産、林業に携わる人々の権利を保障することは、不平等を是正するうえで重要です。

住み続けられるまちづくりを -農村部への投資は都市化を防ぐ-

世界の人口の約半数が都市部に住み、2050年までに人口の3分の2が都市に住むとみられています。開発途上国における都市の急速な成長は、都市部の食料需要を増大させています。また、都市化が肥沃な土地にまで拡大すると、食料生産のために必要な土地や水など天然資源をめぐる都市間の対立も懸念されます。
さらに、多くの場合、食料価格の変動は食料の大半を購入に依存する都市部の消費者に大きな影響を与えます。食料価格と所得の変動は購買力の低下や不安へとつながり、食事の量と質を低下させます。

つくる責任 つかう責任 -生産された食料の1/3が廃棄もしくは損失-

世界では8億2100万人が飢えに苦しんでいる一方で、生産された食料の3分の1が捨てられています。食料を持続的に供給するためには、環境への悪影響を減らしながら、より多くの食料を生産していく必要があります。
天然資源の減少と都市化の進行に伴う世界人口の増大は、これまでよりも少ない水や土地、労働力でより多くの人をまかなっていくことを意味します。これからの食料、水やエネルギーの需要を満たすためには、持続可能な生産と消費への移行を進めることが必要です。

気候変動に具体的な対策を -農業は気候変動に対応していくための鍵-

気候変動は生物多様性や人々の生活に大きな影響を及ぼします。これまで以上に長期化している厳しい干ばつは水の供給や農作物の成長に悪影響を与え、海面の上昇や海洋の温暖化も深刻です。
仮に対策を講じなければ、食料不安がすでに深刻な国・地域はさらに大きな打撃を受けるとみられます。また、気候変動は、収入を農業に頼る農村部に住む人々の生活を混乱させ、食料へのアクセスを妨げることになるでしょう。食料生産は気候変動によって最も被害を受ける恐れがあります。一方で、持続可能な農業は解決策の一つとなりえます。

海の豊かさを守ろう -次世代の食料需要を支える水産資源-

漁業と水産養殖は飢餓や貧困を減らすことに貢献し、人々の栄養を改善します。また、経済成長をもたらし、天然資源のより良い利用を確保するための豊富な機会を提供しています。水産養殖は最も急成長している食料部門であり、増大する人口の食料需要を満たすために必要な量の魚介類を生産する可能性を秘めています。
一方で、乱獲は漁業に頼って暮らす人々の生計を脅かし、管理の行き届かない水産養殖の拡大が汚染を引き起こしています。大気中の二酸化炭素濃度の上昇は海洋の酸性化の一因となっています。

陸の豊かさも守ろう -生物多様性の保全が急務-

森林は世界の土地面積の31%を占めています。森林、湿地帯、山岳地帯、乾燥地はきれいな空気と水をもたらし、生物多様性を保全して気候変動を緩和します。また、さまざまな産業を支え、雇用と収入を創出し、10億以上の人々の食料、医薬品、燃料の供給源となります。
しかし今、世界中で天然資源が失われ、生態系は脅かされ、生物多様性が失われつつあります。森林伐採などの土地利用の変化は、生物の貴重な生息地やきれいな水を減少させ、土地劣化や土壌侵食をもたらし、また、大気中への炭素放出にもつながります。

平和と公正をすべての人に -飢餓ゼロ 平和と安定に大きく貢献-

飢餓に直面する8億2100万人のうち、およそ4億8900万人は紛争被害を受けた国・地域に住んでいると推計されます。また、多くの国で災害や政情不安が長期にわたる人道危機の引き金となり、食料不足が発生しています。
紛争は農村部の人々の生活を困難にし、住み慣れた家や土地を奪います。平和と食料安全保障の実現は、互いに補強する関係にあります。食料安全保障を確立し、農業を回復させるための介入は紛争の根本的な原因を対処するものでなくてはなりません。

パートナーシップで目標を達成しよう -専門分野の垣根を越えて-

SDGsは、開発に関わるすべての当事者がそれぞれの国でのSDGsの実施やそれを監督することを支え、知見を共有するよう呼びかけています。SDGs達成のため、イノベーションの可能性を擁する民間のさまざまな資源を結集し、目標達成に向けた早急な行動が求められます。特に開発途上国などの重点地域では、海外からの直接投資を含む長期投資(持続可能なエネルギー、インフラ、輸送、情報通信技術など)が必要です。
パートナーシップは、飢餓のない持続可能な世界の実現という使命の核をなします。そのためには、公的機関、民間企業、市民団体、研究機関などあらゆる関係者が、知見や専門知識を使ってすべての食料・農業関係者との戦略的パートナーシップを構築し、発展させていくことが求められています。

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