「食」の問題の解決に向けて、みんなでアクションする1ヵ月。
「世界食料デー」月間2024 10/1-31

賛同団体ミーティング第1回 〜「食」を取り巻く課題のより良い伝え方を学びあう〜

vol.62イベントレポート

主催:「世界食料デー」月間2022
日時:2022年9月20日(火)16:00〜18:00
場所:Zoomミーティングルーム

集合写真

「世界食料デー」月間の参加団体同士の学びあいを通じて、それぞれの事業や活動を活性化することを目的とした賛同団体ミーティングを初めて開催。
9月20日(火)に呼びかけ団体と賛同団体などから9名がオンラインで参加して、それぞれが解決に向けて取り組む社会課題や、情報発信の際などに感じる難しさや成功事例の共有を通して、「食」を取り巻く問題のより良い伝え方を検討しました。

食料問題に関わる多様な社会課題

今年、「世界食料デー」月間に参加する賛同団体は47団体・企業(10月25日現在)。昨年の25団体から飛躍的に拡大し、食料問題への社会の関心の高まりがうかがえます。また、国際機関やNGO、フードバンクのほか、今年は教育関連や環境関連の団体、食品会社や協同組合などの参加によって顔ぶれも多様になりました。

「食」にまつわるという共通点はありますが、各団体のアプローチは多様です。包括的なフードシステムの変革、食品ロスやフードマイレージの改善、食育など、食料問題そのものへの取り組み。他にも、食料生産に欠かせない清潔な水の確保につながるトイレ・衛生習慣の普及や、生態系を壊さずに食料を生産するよう、輸入食料などを扱う企業の調達方法の改善など、環境課題への取り組み。さらに、食の不公正や、構造的に私たちが関わっている食料や人権の問題についての教育の取り組みもあります。課題を伝える相手も、子どもや青少年、消費者や飲食店など団体によってさまざまです。

そんな各団体に、共通するのは社会や環境の課題をどう伝えるのかという悩みでした。人々に考えて、自ら改善に向けた行動を起こしてもらうため、それぞれに苦労があることが分かりました。そして、うまくいっているヒントを紹介し合うことができました。

− 学びあい① −
課題:どうやって“遠い課題”に関心を持ってもらっていますか?

・人々の社会課題への関心や知識、理解には差があります。飲食業などで食に携わる人でも食料問題に関心があるとは限らない。その上、コロナ禍になったことで飲食業も経営が厳しく、原価を下げることに意識が向いてしまいがちだったりします。加えて、その持続可能性(サステナビリティ)に対する取り組みをしても消費者がお店を選んでくれる決め手にならないのでは、と行動をためらう人もいます。

・気候変動などは、今日行動しても、来年の気温が確実に下がるわけではなく、食料問題も、すぐに行動の成果が見えるものではありません。食品を選ぶ時に、値段や品質、食品安全は気にするけれど、それ以外の視点は自分へのメリットが見えづらいこともあって無視されがちです。直感的に自分と課題とのつながりを実感できれば行動につながりますが、“遠い課題”の解決のために行動する動機を示すことは難しいです。

ヒント:一つの社会課題から、他の課題にも目を向けてもらう工夫をしています

・生活協同組合の組合員さんなどは、「世界食料デー」月間の取り組みなどに共感してくれたり、社会課題に関心のある人が多いような印象です。伝えられる人数に限りがあるので、対象を絞ることも重要だと思っています。すでに少し関心がある人に課題を伝える方が、無関心の人に伝えるよりは効果的ですし、有機(オーガニック)など、すでに関心を持っているテーマがあれば、そこを入口にして、他の課題にも関心を持ってもらうことが効果的だと思います。

・社会課題は一つだけで存在しているわけではありません。気候変動も生物多様性も人権もつながっているという構造やシステムを理解してもらうことは難しいですが重要です。

取り組んでみたいこと:教科書に取り上げてもらいたい

・まだ食料問題は日本で話題になっていないと思います。多くの団体が共に動いていることを見せていくことで、注目してもらえるのではないでしょうか。

・イシュー(課題)間のつながりを伝えていきたいです。個別の課題としてではなく、構造的な課題として伝えられるよう、伝える側の認識や理解もアップデートしたいです。「世界食料デー」月間には多様な団体が入っているので、相互に課題や取り組みを繋げて、広げていきたいです。

・長期的な視点で、子どもたちへ伝えることを考えると、教科書に載っているかどうかは大きいです。認証マークなどは、教科書に載っていることで、大人より子どもの認知度が高いです。教科書に課題を取り上げてもらうためのアドボカシーも必要だと思います。

− 学びあい② −
課題:正しい情報を伝えることと、分かりやすさや迅速さの折り合いをどうつけていますか?

・英語で発信されたものを日本語に翻訳する場合、英語で書かれたフレーズには、いくつかの意味が同時に込められていることがありますが、その全ての意味を日本語に翻訳することは難しいです。この翻訳作業によって情報量が減ることもあります。

・FAOでは、「Food Loss(食料ロス)」が生産から小売の前段階で損なわれたもの、「Food Waste(食料廃棄)」が小売から消費の段階で廃棄されるものと定義していますが、日本では「食品ロス(=本来食べられるけど捨てられた食品)」やハンガー・フリー・ワールドなどNGOと企業が広めた「フードロス(=食料ロス・廃棄の総称)」など、用語が混在していることで、混同されてしまうということもあります。

・フードシステムなどカタカナ表記で使われる用語は、それが何を指しているのかを理解・イメージすることが難しく、どのように伝えていくかが課題です。

・SDGsや持続可能性という単語は知っていても、どこまでその意味や危機感を共有できているのか不安になる時があります。

ヒント:情報や用語を日本人に響くように変換していく

・より伝わりやすい表現を模索する必要があるかもしれません。既存の用語を危機感が伝わる表現に変えていくというのはどうでしょうか。日本では浸透していないかもしれませんが、「気候変動」は「気候危機」という表現に変わりました。例えば、「持続可能性」ではなく、「生存可能性」と表現するなど、そんな工夫もあってよいと思います。

− 学びあい③ −
課題:アクションを起こすハードルを乗り越えてもらうには?

・社会課題を改善する過程では、企業などに事業のやり方を変えてもらう必要もあります。一般市民が消費者として想いを伝えることで、企業が事業の参考にして、事業が変わるきっかけになることもあります。ですが、課題の重大さは認識してくれても、企業に消費者として自分の感じている懸念を伝えるようなアクションは、クレームと思われるのではとためらう人が多いようです。
また、企業が良い取り組みをしていたら、SNSなどで「いいね」と発信する方法もありますが、取り組む人は少数にとどまります。

・大学生の時には積極的に活動していた人も、働き始めてから社会課題に触れる機会が減り、活動から遠のいてしまうという現象が多くあります。

・社会や環境の課題は多くの人が行動しなければ、変わっていきません。しかし、「問題について詳しくない私が意見しちゃいけないかな……」「日本が大変なんだから、海外より優先して支援すべきでは?」と、少しでも社会を良くしたいと思う人にも発言や行動のブレーキがかかってしまう環境があります。どんなささやかな関わり方でも、どんな課題に対してでも、アクションを起こせる場が広がっていくことで、課題解決の動きが前に進むのではないかと思っているのですが。

ヒント:情報に触れ、市民の声は聞いてもらえると感じることがアクションにつながる

・学校給食にベジマンデー※や有機食材を取り入れてほしいと希望していた高校生グループの例では、高校生の依頼で、NGOがトレーニングを実施。有機食材を給食に取り入れた千葉県の前例を紹介し、行政は高校生を含めた市民の声を聞いてくれると伝えたところ、実際に高校生が行政に働きかけたこともありました。
※週1回、月曜日は菜食にしようという取り組み

・以前、レディーガガさんが来日した際にセクシャルマイノリティーの人々に向けたメッセージを出しました。有名人などからメッセージが発せられることで、情報や想いに触れ、関心を持てるようになるのでは? また、動画や漫画、お笑いなど、隙間時間に気軽に社会課題に触れられるタイミングを増やせると関心やアクションを促進できるかもしれません。

取り組んでみたいこと:アクションを分かりやすい形に落とし込んで、呼びかけたい

・例えば、ハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらう、署名に参加を募る、特定の商品の購入を呼びかけるなど、分かりやすいアクションを展開してみたい。

・ユースへの働きかけを強めて、行動変容を促していきたいです。以前トレーニングをしたユースがさまざまなNGOなどで活躍していたりします。他にも、市民社会としての厚みを作っていくための情報などがあれば教えてください。

− 賛同団体として参加しませんか? −


今後も「世界食料デー」月間では賛同団体や呼びかけ団体など、関連団体での学び合いと互いの事業や活動の促進に取り組んでいきます。また、その成果などは積極的にウェブサイト等で公開していく予定です。

フードシステム(食べ物をつくり、運び、食べるまでの一連の流れや、それに関わる多くの企業・団体のつながり)を変え、日本を含めた世界の食料問題を解決していくためには、さまざまな分野やセクターの関わりや取り組みが欠かせません。

ご関心のある方は、ぜひお問い合わせフォームからコメントをお寄せください。

イベントレポート アーカイブ

ページtopへ