vol.04イベントレポート
主催:国連食糧農業機関(FAO)
共催:国際農林業協働協会(JAICAF)
日時:2010年8月19日(木)14:00~16:00
場所:アジア会館
海外からの輸入に頼る、私たち日本人の食生活。実は、日本から遠く離れた北アフリカ・中東地域でも、同じように食料の確保を輸入に頼っています。また、穀物を多く輸入していることや、その主要な輸入相手国がアメリカであるなどの共通点もあります。
一方で、日本とは気候が異なり、高温・乾燥地帯に位置する北アフリカ・中東地域。比較的温暖な気候にあるはずの日本でも猛暑による農作物の不作が連日ニュースで伝えられるなか、この地域の食料生産はどのような問題を抱えているのでしょうか。
気候変動が食料生産に与える影響
国連食糧農業機関(FAO)の中近東地域事務所で自然資源(水資源)開発・管理を担当している阿部信也さんに、食料の確保を輸入に依存している北アフリカ・中東地域の食料問題について、水資源の現状と気候変動への課題の点からお話をしていただきました。この地域の穀類の輸入は世界最大量に及んでおり (2007年)、その背景には、水資源の乏しさがあります。人口増加により食料の需要が高まる中で、気候変動がこの地域の水資源や食料生産に悪影響を及ぼすことが心配されています。こうした地域の食料をめぐる複雑な問題が、FAOや気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のデータなどをもとに伝えられました。
この地域の食料問題の要因とは?
この日の参加者は学生、NGO/NPO職員、会社員など約70名。参加者のみなさんは、同地域の抱える食料問題の要因の一つが水資源の不足にあることや、気候変動、人口増加などの多くの問題が地域の食料に影響を与える点に関心を持たれていたようです。発表後の質疑応答では、政府の取り組みやFAOの活動、水資源開発や農業生産の今後の可能性、この地域に住む人々の食料問題に対する危機意識などについて、多くの質問が寄せられました。また、質問のみならず具体的な政策や支援状況についての意見交換がなされ、参加者の食料問題への意識の高さが伺えました。