「食」の問題の解決に向けて、みんなでアクションする1ヵ月。
「世界食料デー」月間2023 10/1-31

栄養の視点から考える格差問題
-栄養士にできること-

vol.19イベントレポート

主催:ハンガー・フリー・ワールド、セカンドハーベスト・ジャパン、国際連合食糧農業機関(FAO)日本事務所
日時:2012年8月26日(日)14:00~16:30
場所:JICA 横浜

日本では肥満や生活習慣病が深刻になる一方で、生活に困窮して十分に食べられない人たちが増えています。世界に視野を広げると、すべての人が十分に食べられるだけの食料が生産されているものの、飢餓に苦しむ人の数は減少していません。このような現状に対して何ができるのか、栄養の視点から考えました。(文責:ハンガー・フリー・ワールド)

※「世界食料デー」月間のプレイベント第5回として開催しました

複雑化する栄養問題

今回のイベントでは最初に、日本や開発途上国における「格差問題」を栄養の視点から研究している国立保健医療科学院の石川みどり先生に、この問題を取り巻く現状についてご講演いただきました。かつては、先進国では肥満、開発途上国では飢餓が問題になっていましたが、どちらの国でも経済格差が深刻になるなか、肥満と栄養不足の両方が同時に起こっていることが、まずは報告されました。また、その背景についても、「収入が十分にない」などの経済的な理由や、「お店が近くにない」などの物理的な理由だけでなく、「料理の仕方がわからない」「買い物を頼める人がいない」など、人と人とのつながりが関係するさまざまな要因が絡み合い、問題が複雑になってきていることが指摘されました。

解決に向けた取り組み

このような現状を受けて、解決に向けた具体的な取り組みを3名の講師の方にご講演いただきました。セカンドハーベスト・ジャパン広報室長の井出留美さんからはフードバンク活動について、ハンガー・フリー・ワールド バングラデシュ支部担当の西岡はるなからはバングラデシュで行う栄養改善事業について報告しました。また、伊勢原市立竹園小学校の栄養職員の吉永加那さんからは、青年海外協力隊としてのコロンビアでの活動経験や、学校で実際に行っている食育活動についてご紹介いただきました。
当日は、栄養士や栄養について学ぶ学生を中心に、定員の30名を大きく上回る51名が参加しました。参加者からは「栄養をメインに格差を語るような機会がなかったので、とても面白かった」「さまざまな分野で活躍されている方の話を聞き、自分が栄養士としてできることを考えるきっかけになった」などの声が聞かれました。「世界食料デー」月間で作成した「給食だより」用のモノクロ素材を持ち帰る栄養士さんも多く、知識を深めるだけでなく、「自分にできることから行動したい」とも思える機会になったようです。

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