vol.23イベントレポート
主催:緑のサヘル
日時:2013年7月5日(金)18:30~19:45
場所:ちよだボランティアセンター
「食料問題は生活問題として捉える必要がある」ということをテーマに、緑のサヘル代表理事の岡本敏樹が、活動を行っている西アフリカ・ブルキナファソの状況に触れながら説明を行ないました。その内容の一部をご紹介します。(文責:緑のサヘル)
※「世界食料デー」月間2013のプレイベント第1回として開催しました。
生活不安に根ざした食料問題
緑のサヘルは、地域環境の劣化により、穀物収穫量の減少・生活用水の不足・調理用燃料の入手困難など、生活が基盤から脅かされているアフリカ・サヘル地域の住民を支援する活動を続けています。食料問題を考えるときに忘れてはならないのは、「どのようにして食べているのか」ということです。確かに、農業によって「生産」される農産物は食料となります。しかし、食料を確保する手段には、「購入」もあります。生産だけでは不足する穀物や調味料、調理油などは、「食材」として購入されています。また、料理として食べるためには、「調理」が必要です。調理のためには、燃料や水が必要になります。
このように、食べるという視点に立つと、農業だけでなく「現金収入」や「燃料調達」、「日用用水」といった面も考慮しなければならないことに気が付きます。「食べられない」とは、生活のさまざまな局面で不足が生じていることの結果なのです。つまり、生活不安に根ざしているといえるため、生活改善の視点からの取り組みを行なうことが、食料問題の改善につながります。
人々の生活の視点から考える
ブルキナファソでは総人口の80%は農業に従事しています。緑のサヘルが活動している地域では、家計収入の20~25%は農産物販売から得ています。作物が栽培し易い条件を整えることは、穀物の収穫量の増加になると共に換金性作物の作付けを増やし、現金収入の改善につながります。また、燃焼効率の良い改良カマドの導入・普及は限られた燃料での調理を可能とし、植林地を増やすことは燃料の調達を容易にします。水の確保に困難が生じている理由として、水源不足に 加えて運搬の大変さが挙げられます。井戸建設やポンプの設置が最善ですが、水運搬の負担軽減を目的とした荷車等の支援も効果的です。
「食べることをめぐる諸事情」とは、生活上の諸事情を意味します。食料問題を考えるときには、ブルキナファソに限らず日本も含めて、生活という視点を見失ってはいけないと思います。
このような話を聞いた会社員やNGO関係者などの参加者からは、「最近雨はきちんと降っているのですか?」「綿実油よりもパーム油が好まれるのはなぜですか?」「おかずは何ですか?」といった質問が次々と出されました。テレビや新聞などでもなかなか情報を得る機会のないブルキナファソの実情について、詳しく知る貴重な機会になったようです。