vol.23インタビュー
スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校として、持続可能な開発のための教育(ESD)や異文化理解教育などを推進している筑波大学附属坂戸高校。特別授業のなかでフードロスをテーマに活動したグループが、家庭で余っている食べ物を持ち寄り寄付するフードドライブを文化祭で呼びかけたり、来場者に「世界食料デー」月間のチラシを配布したりしました。代表して長谷川美葵さん、松岡伶奈さん、元木花さんにお話を伺いました。
「世界食料デー」月間を知ったきっかけは何ですか?具体的にどのようなことを行いましたか?
元木:2年生のときに、グローバルな視点をもってグループ活動を行う特別授業がありました。「グローバルって何だろう?」って悩んでいたときに、「グローバルライフ」という授業でフードドライブをしたことを思い出して9月の文化祭でもやってみようと思いました。
長谷川:まずは全校集会やクラスで食品をもってきてもらうように呼びかけました。「どうしたらもっとたくさんの人に知ってもらえるだろう」と思ってインターネットで検索していたら「世界食料デー」月間の特設サイトを見つけて、「イベント情報に載せてください!」と問い合わせました。
元木:たくさんの人に食の現状を伝えることも活動の目標にしていたので、わかりやすく伝えられるものはないかなと思っていたら、「タマゴさん」の動画も見つけて。「何これ、シュール!おもしろい!」と思って、LINEでみんなに伝えました。
松岡:でも、結局、文化祭のフードドライブでは自分たちが持ってきたひじきと中国茶しか集まらなくて、箱の中は空っぽで……。
元木:そのときは「何でわかってくれないんだろう」と、むなしい気持ちになりました。でも、私も授業でフードドライブをやったときは受け身だったことを思い出して、友達一人ひとりにきちんと話をしたり、近所のカフェに協力してもらったりしたら、1週間で箱いっぱいの食品が集まりました。
アクションを起こしてみて、どのような気持ちの変化がありましたか?
元木:フードロスについて勉強をしていくなかで、世界では毎年13億トンもの食料が捨てられているのに、飢餓に苦しんでいる人もいることを知って、「それっておかしい!」と思いました。もちろん、フードロスだけ解決すれば飢餓が終わるわけではないですけど、じゃあこんなに捨てていいの?って、今でも頭の中がぐるぐるしています。でも、だからこそ、もっと考えないといけないなと思っています。
松岡:フードロスや飢餓の問題を知らない人がまだまだたくさんいます。まずは家族や身近な人に伝えて知ってもらうことが大切だと思うようになりました。
長谷川:今回のグループ活動では、いろいろな人とつながったり、助けてもらったりしただけでなく、食の問題を解決するために活動している大人にたくさん出会えました。「世界ってこうやって変えていけるんだ!」と気づくことができました。
元木:まず行動してみることで人も変わるし自分も変わる。「自分一人がやっても意味がない」と思わずに、自分が発信者になることが大切だよね。
2月に開催されたSGHの研究大会では、食の問題の現状や活動の成果を、約600人の在校生や来場者に向けて発表したみなさん。今は3年生になり、大学受験を控えていますが、「自分たちの取り組みを後輩たちにも伝えて活動を引継ぎたい」とも話してくれました。