「食」の問題の解決に向けて、みんなでアクションする1ヵ月。
「世界食料デー」月間2021 10/1-31

ロイヤルホールディングス株式会社
重田 英一さん

vol.35インタビュー

<プロフィール>
1969年生まれ 神奈川県出身。1996年ロイヤル株式会社(現ロイヤルホールディングス株式会社)へ入社。ロイヤルホストや専門店などで店長を歴任。労働組合出向を経て、2019年より現職。ロイヤルグループの持続的成長と食品ロス削減や環境課題への取り組みなど社会課題解決の両立をめざす。また社会課題の自分ごと化を目的としたワークショップのファシリテーターとしても活動中。

ロイヤルホールディングス株式会社CSR推進部課長の重田さんに2021年10月1日開催の「World Food Night 2021 with 横浜」で発表いただいた内容をまとめました。

経済価値と社会価値の両立が我々の仕事

ほかの方が先進的でおしゃれな感じのプレゼンをされている中、私たちのグループは大量生産・大量消費を地でいくようなファミリーレストランが主体ですがこういうことをしているということを発表させていただきたいと思います。

簡単にロイヤルグループの紹介をします。ロイヤルホスト、天丼てんやなどレストランチェーンを有する外食事業、空港レストラン、学校や企業等の給食などを運営するコントラクト事業、リッチモンドホテルを運営するホテル事業、そしてグループ各社へ食品を製造・提供している食品事業と大きく4つのセグメントを持っています。そのなかで中心的な役割を担っているのがロイヤルホストということを覚えおいていただきたいです。

ロイヤル経営基本理念は「食を通じて国民生活の向上に寄与する」という創業時の思いを未来に引き継ぐ目的で作られたものです。その具現化が事業の目的であって私たちの存在意義、パーパスとなっています。 この基本理念を私たちのCSRという視点で再定義すると、基本となる存在意義から経済価値をゴールとしてグループは成長しなければなりません。お客様に満足を与え、お客様から代金をいただくという仕事をする。そして同時に社会が抱える問題をしっかり解決する仕事でなければならない。そのことをすることで新たな価値の創造そしてニューフロンティアがあるという考えで見たときに、企業は何をしなければならないかというと、企業は事業を通して社会を変える。ゼロから作るのではなくて、今ある社会の課題をクリアにして住みやすい心豊かに生きる社会を作る、というところが課題なのだと認識しています。

生産から流通、消費の各段階で食料ロス・廃棄を削減し、同業他社とも協働する

その課題の一つに食品ロスの削減があります。ロイヤルグループは日比さんがおっしゃっていたサプライチェーンの部分とお客様との接点での廃棄の部分の両方に手を当てています。2019年から食品ロス削減の社内プロジェクトを立ち上げて、より深く手を当てています。食品ロスの発生を詳しく調べると、店舗、サプライチェーン、工場の、大きく分けて3つに手を当てないと改善が進みません。それぞれでやっている取り組みを紹介します。基本的にはパーパスに則っておこなっているので、食の安全安心を担保したうえで、この取り組みをおこなっていると理解してもらいたいと思います。

ロイヤルホストでは、啓発活動を2019年10月から開始しました。まず手をつけたのはごはんの食べ残しを減らそうと、小さめライスをメニューに入れることからでした。一年後、食べ残し食品の持ち帰りについてもメニューに表記しました。これはドギーバッグの精神でやっていきましょうという考え方です。以前からご意見としていただいていた、「ロイヤルホストってちょっと量が多いよね」「おじいちゃんおばあちゃんが食べきれないのよね」というお客様の声に応える形で少量メニューを設けました。また逆に、2~3人で分けて食事を楽しく食べきってもらおうと少し量を増やした取り分けメニューを取り入れることもおこなっています。

天丼てんやでは、ロイヤルホストと同じようにごはんの量を選ぶことができます。また季節商品の廃棄にも手を当てています。例えば、ほたるいかは春の季節商品でしたが、メニューを切り替えたときに、あえて夏のメニューにも組み込み、「食品ロスがないように販売しよう」という取り組みをおこないました。

食品工場では、期限管理がしやすいように、まだごく一部ですが賞味期限の年月表示へ切り替えました。また地域限定や店舗限定商品のロゴ表現を変更することで、さまざまな場所で販売できるようになり、売上も上がり、そして食品廃棄を減らすことができました。このように食品をおいしく食べていただける環境を整えているところですが、それでも余ったものは子ども食堂やフードバンクなどに寄贈して、おいしく食べていただいています。

去年の秋にドギーバッグの愛称を環境省が募集して「mottECO(モッテコ)」に決まりました。このmottECOの普及に向けて、同業他社であるデニーズさんとロイヤルホストが同じツール、同じ容器を使い、企業の枠を超えて共通の課題を解決するんだという活動もしています。このように食品ロス削減は、いろんなところで注目を浴びています。

「自分の身の回りから行動を変えると世界が変わる」―お客様との協業をめざす

ロイヤルホストや専門店で店長をしていたときは食のおもてなし、品切れを出さないということが最優先で、許容時間を過ぎたもの、余ったものを捨てていました。当時、それは会社として安全安心を守るため、成長するために必要なことで、もったいないという気持ちは実はこれっぽっちもなかったのです。それが当たり前のように20年近く仕事をしてきました。たまたまCSR推進部に配属され、「企業の社会的責任とは何か」きちんと向き合うと決め、今までの考えを変えてみようと思いました。今は、経済価値のゴールと社会価値のゴール、この二つをきちっと両立していくことが私たちの仕事だということをことあるごとにお話しさせていただき、社内の人だけでなく社外の方にもこのように話すことで、「みんなで誇りをもって働いていこう」「枠を超えて新しいことをやっていこう」と仲間をふやしているところです。

最後に、食品ロスを解消するためには最終消費者のお客様の気持ちを変えなければならず、お客様との協業が一番大切だと思っています。そのために何をするかというと、学びの場や商品のストーリーなど事業を通して、いろいろな形でロイヤルグループ全体が食品ロスに対して真摯に取り組んでいます、とお客様へ発信をしていく。ある意味食品ロスの削減も食育活動の一つだと認識しています。

みなさんにお願いしたいのは、今日学んだこと、私以外にも3名の方のお話がありましたが、そこで感じたことを素直に実行して、自分の身の回りから何か行動を変えると世界が変わるのだと思っていただけるといいと思います。

Q&A

Q: デニーズはライバル企業だと思いますが、協働するのは大変でしたか? 他の企業と連携は進むのでしょうか?
重田さん: デニーズさんとの協業は先方から誘ってもらったので、渡りに船でした。一つ考えなければならないことは日比さんのスライドにあったのですが、一つひとつがそれぞれやってもコマが小さい、パイが小さいということです。同じことをやるんだったら、みんなで協力しないといけないということは、飲食をやっている私たちにはよく理解ができます。そこに至るまでに確かに時間がかかると思いますが、酒井さんや表さんのお話のように、SDGsというキーワードで社会の流れに沿ったものを発信していく、そのことで注目が集まってくると思うので、きちっと発信し続けることが重要だと思っています。そして、そこに共感が生まれます。トヨタさんのCMで「水素エネルギーは共感だ」と言われていますが、それと同じで食品ロスの解消も共感だと思います。

プレゼンテーションを終えてのコメント

本当に今日はありがとうございました。特別なことをするのではなく、最後まで食べきるとか冷蔵庫を開けてから買い物にいくとか、そんな日々の行動で食品ロスが減るということを認識してやっていただければいいと思います。そして、確実に何かやれば変化が出るのが食べることです。生ゴミが減るとか、もしかしたら電気代、ガス代も減るかもしれません。ぜひみなさんと食品ロスについて考えていければと思います。


2021年10月1日開催の「World Food Night 2021 with 横浜」イベントレポートはこちら

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